こころすこやか財団 設立趣意書

 わが国は経済的な成長を基盤にさまざまの分野で発展を遂げて、先進諸国の ひとつとして数えられるようになりました。
 その一方で、社会全体として急激なストレスの増加や少子高齢化による影響など、 様々の精神的な問題を抱えるようになってきています。
 とくに、自殺・ひきこもり・虐待・精神疾患による重大犯罪といった社会的な 現象や、統合失調症・うつなどの気分障害・不安障害・睡眠障害・アルコール依存・認知症・ 発達障害などの精神疾患の、予防と治療そして障害の支援といった問題が大きく注目されてきています。

 昨今の脳科学の進歩は、脳の活動を次々と明らかにして、これらの精神的な不調を脳機能の障害によるものとして 解明しつつあります。また、治療方法や障害を残遺しても、早期に回復して社会の中で生活が出来るような仕組みが 作られつつあります。
 しかし、それらの仕組み作りは端緒についたばかりで、充分なものではありません。 これらの精神疾患の治療と研究を推進し、精神障害の社会における生活支援をさらに充実させるための 活動が求められています。
 また、心の健康を維持・増進していくための知識の普及啓発や、精神疾患と精神障害に対する社会的な 偏見差別の除去などの精神保健活動も、おおきな課題となっています。

 このように、脳とこころの問題に焦点をあてて、認知症を含む精神疾患関連の予防と治療および研究に 関する活動と、主に精神障害者を中心のした障害者や認知症高齢者の社会生活の全般的な支援活動を おこない、また心の健康を普遍化して、偏見を無くした心豊かな優しい社会づくりをめざし、社会に貢献 するために篤志を募り、本財団を設立することとします。

 本財団の事業内容は、精神疾患および精神障害を対象とした、研究活動・啓発活動・人材育成教育活動 などと、障害者の社会生活の支援としての、就労支援や訓練・生活の場や環境の提供・社会参加の 促進・権利擁護などの活動を中心に、関連する様々の課題に取り組んでまいります。